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医療の質 QI推進活動報告2018年

#1 安全管理

① 転倒・転落発生率(民医連指標8)

指標の意義 転倒・転落を予防し、外傷を軽減するための指標、とくに治療が必要な患者を把握する

指標として3項目

A 入院患者の転倒・転落発生率 B 治療を必要とする転倒・転落発生率 C 損傷レベル4以上の転倒・転落発生率 (分子 それぞれの件数 分母 入院患者延べ数)

2018年当院数値

A  転倒・転落発生率 5.20‰(件数179 2017年 6.06‰ 241件)

B 治療を必要とする転倒・転落発生率 0.35‰(件数12 2017年 0.28‰ 10件)

C 損傷レベル4以上の転倒・転落発生率0.17‰(件数6 2017年 0.06‰ 5件)

(民医連中央値 A 4.52‰ B 0.35‰ C0.03 ‰・・民医連指標では0.26)

考察

転倒転落発生率、損傷レベル4以上の発生率が前年より増加し民医連中央値も上回った。

2017年度から転倒転落委員会が発足し定期ラウンドの実施、対策案の提起などが開始された。転倒リスクを評価し環境設定を適切に行うこと、転倒した際の障害発生などを最小限に抑えることのできる対策を行うこと、多職種でのアプローチ、患者や家族を巻き込んでの対策の実施を検討していきたい

② 病棟における薬剤関連事故発生率(民医連指標9)

指標の意義 薬剤安全管理者・薬剤師の病棟での役割のアウトカムとしての指標

2018年当院数値

薬剤関連事故発生率 0.19% (64/34397) 2017年 0.19% 民医連中央値 0.30%

分子 薬剤ないし注射投与間違い(病棟のみ レベル1以上)

分母 入院患者延べ数)

考察

報告の分析を行ったがレベル2以上が4件であったが重篤なアクシデントはなかった。レベル0,外来からの報告をふくめた薬剤関連の報告は101件、インシデントレポートの総数は379件であり26.6%が薬剤関連であった(2017年 29.5%)。

薬剤関連のインシデントレポート割合は減少しているが病院全体のインシデントレポートの報告数が減っておりこれの分析と改善が必要である。薬剤の減薬、投与方法の統一化、標準化等をひきつづき検討していく。

#2 全身ケア(栄養管理・褥瘡)

①65歳以上低栄養の改善率(民医連指標6)

指標の意義 血清アルブミン値を使用し病棟での栄養改善のとり組みの指標とする

2018年当院数値

低栄養の改善率 42.12%(47/109) 2017年 55.56% 民医連中央値 25.70%

分子 分母のうち退院時にアルブミン値が3.0g/dl以上となった患者

分母 入院時のアルブミン値が3.0g/dl未満の患者 65歳以上、入院が14日以上、死亡退院、肝硬変、ネフローゼを除く

考察

指標は前年より低下した。低栄養の患者(在宅・施設管理、超高齢者、がん患者など)が増加している(分母は2年間で倍増している)。今後も低栄養、サルコペニアなどの入院患者の増加傾向は続くと思われ、ひきつづきNSTを核にした多職種(医師、看護師、管理栄養士、リハビリセラピスト、薬剤師など)によるとり組みが必要である。

② 褥瘡新規発生率(民医連指標7)

指標の意義 褥瘡予防は提供される医療の重要な項目であり、栄養管理、ケアの質評価に関わる

2018年当院数値

褥瘡新規発生率 A)d1発生率 0.33%(発生数 8) B)d2以上発生率 0.98%(発生数 24)(2017年 d1発生率 0.08% d2発生率 0.81% 民医連中央値 d1発生率 0.33% d2発生率 0.83%)

分子 入院後に新規に発生した褥瘡の数

分母 新入院患者と前月最終日在院患者の合計

考察

褥瘡発生率は前年より増加した。超高齢者、がん終末期など低栄養状態の患者の入院も増加している。ひきつづき入院時からのアセスメントを行い褥瘡の発生、悪化のリスクに気付き、褥瘡対策チームで早期介入することで予防や早期処置による治癒率の向上をめざしていきたい。

#3 感染管理

① 注射針及びそれに準じる鋭利な器具による皮膚の損傷からの血液曝露例件数(民医連指標12)指標の意義 他施設の状況を知り比較することで職員のリスク意識を高め安全管理をすすめる。

2018年当院数値

2件(指標として0.17%) 2017年 4件(0.33%) 民医連中央値 0.09%

考察

前年と比較して半減したが、過去に同様の事例がある。ひきつづき学習なども行い職員のリスク意識を高め安全管理をすすめたい。

② 中心静脈カテーテル感染率(民医連指標13)

指標の意義 血流感染は重篤な転帰となることも多くマキシマムプリコーションが一般的に推奨されている。視標は院内感染対策の充実度、とくに刺入部のケアや一般的な清潔操作の遵守を反映する

2018年当院数値

感染率 2.80‰ (2017年 0.00‰ 民医連中央値 2.43‰)

分子 中心静脈カテーテル関連患者数

分母 中心静脈カテーテル留置延べ日数

考察

過去の指標と比較しても増加した。中心静脈カテーテル留置数が前年より半減したことも要因としてあると思われる。中心静脈カテーテル留置患者のラウンド等も検討していきたい。

③ 総黄色ブドウ球菌検出者のうちのMRSA検出率(民医連指標14)

指標の意義 黄色ブドウ球菌は皮膚に常在する場合が有り、単純にMRSAの検出患者数をモニターした場合は、結果が検査数に影響を受けるため総ブドウ球菌数を分母とすることで標準化する。

2018年当院数値

MRSA比率 50.95% (2017年 47.28% 民医連中央値 53.49%)

分子 MRSA検出患者数

分母 黄色ブドウ球菌検出入院患者数

考察

前年よりも指標は増加したが、保菌者の再入院件数増、持ち込み患者数増が要因として考えられる。厚労省は2020年にMRSA比率を20%以下にすることを目標としており抗菌薬の適正使用など今後も検討が必要である。

④ アルコール手洗い使用割合(民医連指標15)

指標の意義 感染対策の基本である手指衛生を遵守する目安である。

2018年当院数値

使用割合 3.76ml/人 (2017年 4.73ml/人 民医連中央値 5.43ml/人)

分子 使用量 ml

分母 のべ入院患者数

2014年以降、着実に使用量は増加していたが2018年は2015年水準に戻ってしまった。ICTを中心にした手洗いラウンドを実施し、ひきつづき職員への学習もふくめ活動をすすめていきたい。

⑤血液培養での表皮ブドウ球菌コンタミネーション率

指標の意義 血液培養の際に皮膚常在菌の混入を防止し適切な採取ができているかを見るために独自指標を設定した。

2018年当院数値

コンタミ率 4.0%(7/175) (2017年 1.9%)

分子 コンタミネーションのべ患者数

分母 血液培養2セット実施患者数

一般的にはコンタミネーション率は3%以下が望ましいとされている。2014年からの指標測定開始以来、着実に低下していたが2018年は4.0%と増加した。再度マニュアルの確認、学習会などを行っていく。

#4 認知機能評価

高齢者への認知機能スクリーニングの実施(民医連指標42)

指標の意義 認知機能を適切に評価することで過剰な治療や人権侵害を防ぎ適切な対応を可能にすること。

2018年当院数値

53.53% (2017年 44.26% 民医連中央値 25.23%)

分子 HDS-R、MMSEなどが実施され記録の残っている患者

分母 65歳以上退院患者数

考察

前年と比較して一般病棟、回リハ病棟ともに実施率は上昇し民医連中央値を上回っていた(回リハ病棟で88.0%)。今後とも認知機能評価が必要な入院患者に対して適切な評価を行っていきたい。

#5 チーム医療・退院支援・地域連携

① ケアカンファレンス実施率(民医連指標24)

指標の意義 カンファレンス記録を実施しチームでの情報共有が促進されプロセス・アウトカムを評価することが可能とすること

2018年当院数値

47.24% (2017年 47.33% 民医連中央値 53.42%)

分子 入院期間中に1回以上、医師、看護師、コ・メディカルによるカンファレンスをした患者数 分母 退院患者数

考察

ケアカンファレンスを実施すること、それを記録することの意識付けができてきており、さらに数値の向上に向けて取り組みをすすめたい。

② 在宅療養カンファレンス割合(民医連指標55)

指標の意義 地域における医療と介護の連携を促進し在宅療養を希望する患者・家族のニーズに応えるプロセスの評価である。

2018年当院数値

65.92% (2017年 62.45% 民医連中央値 12.52%)

分子 入院中に多施設の担当者を交えて検討した患者数

分母 在院日数7日以上の退院患者

考察

前年より増加し民医連病院66病院中1位であった。ひきつづき在宅療養整備に向けた多職種連携を進めていくこと、入院早期での家屋評価の実施の検討などを行っていきたい。

#6 がん検診

東大阪生協病院は組合員などを対象にした検診などを精力的に行っている。2017年度の東大阪生協病院のがん検診が東大阪市のがん検診に占める割合は、胃がん検診 33.8%、大腸がん検診 30.1%、乳がん検診 21.8%、肺がん検診 31.5%、子宮がん検診 14.1%である。

① 胃がん検診後の胃がん発見率

2018年1月から東大阪市の内視鏡検診が開始された。

2018年当院数値

胃透視検診後の胃がん発見率

0.061%(胃がん検診 6515 胃がん 4(早期2 進行2) 2017年 0.044%)

他院で精査を実施した件数は含んでいない。その他胃カルチノイド1例あり。2015年度消化器がん検診全国集計の胃がん発見率は0.075%である。

内視鏡検診後の胃がん発見率

0.283% 胃がん発見数 1(早期) 内視鏡検診数 353

2015年度内視鏡検診全国集計の胃がん発見率は0.18%である。

考察

今後、胃透視検診は減少し内視鏡検診希望者の増加傾向が続く。ひきつづき精度管理に努め胃がん発見数の増加をめざしていきたい。ピロリ菌感染の有無に留意した読影を行い、除菌療法、胃がん予防につなげていく。

② 大腸がん検診後の大腸がん発見率

2018年当院数値

大腸がん発見率 0.168%(大腸がん検診 7744 大腸がん 13 2017年 0.114%)

他院で精査を実施した件数は含んでいない。検診の要精査率は5.75%。2017年度消化器がん検診全国集計の大腸がん発見率は0.128%である。

考察

2018年より大腸CT検査の稼動が本格化したこともあり大腸内視鏡検査の件数が減少した。ひきつづき検診精度の向上とともに便潜血検査陽性患者の受け皿としての大腸CT件数を増やし当院での精査実施率をあげていくとり組みを検討したい。

③ 乳がん検診後の乳がん発見率

2018年当院数値

乳がん発見率 0.27%(乳がん検診 3283 乳がん 9 2017年 0.11%)

乳がん検診は3283人、そのうち要精査と判定したのが109人(要精査率 3.32%)。

日本対がん協会による乳がん発見率 0.24%(2017年)

考察

乳がん検診後の精査は周辺の医療機関に依頼することが主であり、把握できていない件数がある可能性はある。ひきつづきがん検診に伴う精度管理などに留意して行っていきたい。

④子宮がん検診後の子宮がん発見率

2018年当院数値

子宮がん発見率 0.11%(子宮がん検診 2671 子宮がん 3 2017年 0.11%)

日本対がん協会による子宮がん発見率 0.16%(2017年)

考察

子宮がん検診後の精査は周辺の医療機関に依頼することが主である。ひきつづきがん検診に伴う精度管理などに留意して行っていきたい。

#7 患者満足

① 患者満足度アンケート総合評価で「満足している」と応えた患者の割合(民医連指標60)

医療福祉生協連が毎年実施している患者アンケートを用いて集計した。

2018年当院数値

外来 89.2%(266/298) 2017年 91.2%

入院 84.2%(32/38) 2017年 92.8%

考察

外来での満足度は前年より2.0%減少した。以前より待ち時間(診療、会計を含む)に関しての満足度が多項目と比較して低く改善傾向が見られていない。「待たされ感の解消」という点も含めて抜本的なとり組みが必要と思われる。入院に関しては前年と同じく母数が少なく評価はむずかしい。ひきつづき患者満足度の向上にむけて組合員・利用者の意見もとりいれながら職員一同取り組みたい。

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