医療の質 QI推進活動報告2024年
#1 安全管理
① 転倒・転落発生率(民医連指標6)
指標の意義
転倒・転落を予防し、外傷を軽減するための指標。特に治療が必要な患者を把握していく
転倒転落を予防し、発生時の損傷を軽減する
指標
A 入院患者の転倒・転落発生率
B 入院患者での転倒転落によるインシデント・アクシデント影響度分類レベル3b以上
(分子 それぞれの件数 分母 入院患者延べ数)
転倒・転落率
期間中の入院患者の延べ人数に対する、期間中に発生した転倒・転落の件数の割合 *全入院患者を対象とします
転倒転落の原因としては、患者の健康障害、治療に伴うもの、環境等があります
2024年当院数値
A 報告のあった入院患者の転倒・転落件数 195件
入院患者の転倒・転落発生率 %(民医連中央値4.79)
B入院中の患者に発生したインシデント影響度分類レベル3b以上の転倒・転落件数 0件
入院患者での転倒転落によるインシデント影響度分類レベル3b以上の発生率 0%
(民医連中央値 0.1%) 2023年 0.35%(2023年民医連中央値 0.10%)
考察
◎入院当初より患者の日常生活自立度や認知症度の評価と把握を行い環境設定を行っているが、ADLの変化に伴い定期的に環境設定を見直す必要がある
◎前年に続き骨折事故発生。身体拘束を最小限にしたいが事故を防ぐための拘束カンファレンスを必要時及び定期的に行っていく必要がある。
◎転倒リスクのある患者には早期にセンサー設置を行い対応しているが、センサーの数に限りがあり、すべての患者に対応が困難な場合がある 優先度を見極め適切な配置が必要
② 病棟における薬剤関連事故発生率(民医連指標7)
指標の意義
薬剤安全管理者・薬剤師の病棟での役割のアウトカムとしての指標
2024年当院数値
薬剤関連事故発生率 0.088%(民医連中央値 0.33%) 2023年 0.087%(2023年民医連中央値 0.36%)
分子 薬剤投与違い、注射間違い(病棟のみレベル1以上)
分母 入院患者延べ数
考察
1.薬剤に関わる重篤インシデント事例は今年も発生していません。
2.レベル2以上は全体で1件(2023年 0件 2022年 1件 2020年 3件 2019年 5件 2018年 4件 2017年 7件)でした。
3.54件の報告者の内訳は、病棟看護師24(31)、外来看護師11(17)、薬剤師19(3)、医師0(1 )。( )内は2023年。
4.外来でのワクチン接種に関わるインシデント、在宅でのワーファリン休薬指示が施設に伝わっていない、リンデロン注取り違え(懸濁注払い出し)、禁忌薬の投与、薬剤配布ミスなど。毎年、繰り返している内容も多い。
インシデントレポートの職場などでの検討が必要です。
① 65歳以上低栄養の改善率(独自指標)
指標の意義
血清アルブミン値を使用し病棟での栄養改善のとり組みの指標とする
2024年当院数値
低栄養の改善率 20.57% 2023年 36.5%
分子 退院直近の血清アルブミン値が3.0g/dl以上になった患者数
分母 当該月の65歳以上退院患者のうち入院3日までの血清アルブミン値が3.0g/dl未満の患者数
2回以上アルブミン検査を実施している患者数
考察
1.生協病院の栄養改善に向けての多職種によるとりくみの評価ということになります。
2024年指標は前年よりも低下しました。
2.低栄養の入院患者(在宅・施設管理、超高齢者、がん患者など)は基本的には増加傾向にありましたが、指標の分母(入院時の血清アルブミン値が3.0g/dl未満の患者数)が、2025年は102と低下しました。
4.今後も低栄養、サルコペニアなどの入院患者の占める割合は多いと思われ、
ひきつづき栄養改善を目標とした多職種(医師、看護師、管理栄養士、リハビリセラピスト、薬剤師など)によるとり組みが必要です。
② 褥瘡新規発生率(民医連指標5)
指標の意義
①褥瘡予防対策は、提供されるべき医療の重要な項目であり、栄養管理、ケアの質評価に関わる指標
②褥瘡アセスメント、予防アプローチの組織化の促進をみる指標
2024年当院数値
2024年 0.03%(2024年民医連中央値 0.08%)
分子 B)d2(真皮までの損傷)以上の院内新規褥瘡発生患者数
分母 入院患者延べ数
考察
①他施設の褥瘡発生率と比較しても当院発生率は低い。
褥瘡対策に関し一定の評価ができる
②褥瘡発生率は昨年と比較してかわらない。
入院時、日々のアセスメントにより褥瘡発生・悪化の危険リスクにいち早く気づき、多職種による褥瘡対策チームで早期介入することにより予防及び早期処置による治癒率が向上した結果と考える
#3 感染管理
① 注射針及びそれに準じる鋭利な器具による皮膚の損傷からの血液曝露事例(民医連指標10)
指標の意義
他施設の状況を知り比較することで職員のリスク意識を高め安全管理をすすめる
2024年当院数値
件数 6件(割合 0.16%)(民医連中央値 0.09%) 2023年 0.03%(2023年民医連中央値 0.18%)
考察
2024年度の血液暴露報告件数は6件と過去3番目に多い件数であり、経験年数の少ないスタッフの曝露が目立った
留置針の安全装置を作動させていなかったため受傷した例、分注器を使用せず翼状針からそのまま採血管へ分注し負傷
した例、携帯用針ボックスの廃棄物が8割を超えても廃棄されておらず、飛び出していた針での負傷例もあり
どれも手順通りに実施していれば防げた事故であった
再度、針刺し事故防止対策の学習が必要と思われる
② 中心ライン関連血流感染発生率(民医連指標11)
指標の意義
血流感染は重篤な転帰となることが多いことから、マキシマムプリコーションが一般的には推奨されている
感染予策・手技の徹底だけでなく、栄養状態の改善、栄養摂取方法の選択、他感染症の治療の適切性、コンタミネーションの鑑別・防止含めて総合的な質が求められる、留置日数が長くなればリスクも高い、発生率(対1000人日)で表す
院内感染対策の充実度、特に刺入部のケアや一般的な清潔操作の遵守を反映
2024年当院数値
発生率 1.90%(民医連中央値 2.07%) 2023年 1.06%(2023年民医連中央値 1.83%)
分子 当月の中心ライン関連血感染件数
分母 当院患者の中心ライン留置延べ日数
考察
カテーテル留置数は大幅に増加、感染者数は3件、感染率1.90と前年の1.06よりも上昇した
1件はCVポート感染、2件はCVカテ感染でCVカテの留置部位は2件とも頚部であった
CV挿入時はマキシマルバリアプリコーション実施、刺入部の消毒も週に1-2回行っているが、再度手技の確認と清潔操作
の徹底が必要と思われる
③ 総黄色ブドウ球菌検出者のうちのMRSA比率(民医連指標12)
指標の意義
黄色ブドウ球菌自体は皮膚に常在する場合があり、したがって単純にMRSAの検出数をモニターした場合は、結果が検査数に影響を受ける為、総ブドウ球菌数を分母とすることで標準化する
2024年当院数値
MRSA比率 69.83%(民医連中央値 51.06%) 2023年 72.0%(2023年民医連中央値 51.06%)
分子 期間内のMRSA検出入院患者数
分母 期間内の黄色ブドウ球菌検出入院患者数
考察
MRSA比率は69.83%と昨年よりは低下したが、民医連中央値からは上回る結果となった
2024年のMRSA院内発生は17件、持ち込みが13件
MRSAの院内発生率で比較すると
2020年:0.85 2021年:0.54 2022年:0.64 2023年:0.58 2024年:0.75 であり、
院内発生率は昨年より上昇、手指衛生の遵守が重要と考える
④ アルコール手洗い使用割合(民医連指標13)
指標の意義
感染対策の基本である手指衛生を遵守する目安とする
2024年当院数値
2024年 使用割合 7.04% (2024年民医連中央値 8.52%)
考察
2024年の使用割合は7.04、民医連中央値は2022年をピークに右肩下がりに低下しているが、当院は
昨年と比較し106%の使用率と上昇に転じた
2024年は職場別での手洗いチェックに始まり、香り付き手指消毒剤の導入、ノンアルコールの消毒剤の
再周知、電子カルテエントランスに手指消毒剤使用割合を表示するなどの取り組みを行った
病棟での新型コロナのクラスター発生は年末年始だけであったにも関わらず使用割合は2023年よりも
上昇、使用率UPへの取り組みとしてのステアジェルの導入は一定の効果があったと思われる
#4 認知機能評価
高齢者への認知機能スクリーニングの実施(民医連指標42)
指標の意義
認知症患者は今後増加が見込まれている。認知機能を適切に評価する事で過剰な治療や人権侵害を防ぎ、適切な対応を可能にする。
2024年当院数値
割合 58.78%(民医連中央値 35.96%) 2023年 51.45%(2023年民医連中央値 37.11%)
分子 HDS-R、MMSE、CGA等の認知機能スクリーニングが実施された結果が記載されている患者
分母 入院日数が4日以上で65歳以上退院患者数
#5 チーム医療・退院支援・地域連携
① ケアカンファレンス実施割合(民医連指標23)
指標の意義
カンファレンスの実施ではなく、記録を評価記録を残すことによりチームでの情報共有が促進され、プロセス・アウトカムを評価することが可能となる
2024年当院数値
割合 30.87%(民医連中央値 65.10%) 2023年 58.53%(2023年民医連中央値 60.62%)
分子 入院期間中に1回以上、医師・看護師・コメディカルによるカンファレンス記録のある患者
分母 退院患者数
考察
2024年度通算指数は、30.87と2023年度をしたまわっています。これは、退院患者数が多く、分母の増加が昨年より増加したことでばらつきあり。
2024年度の診療報酬改定では、リハビリ、栄養管理・口腔管理の連携を評価する加算が新設され、入退院支援や地域連携の評価も高まっている。
在院日数の短縮も求められる中、多職種によるチーム医療の推進が、より一層もとめられている
カンファレンスの実施率だけで診療・ケアの質の評価は難しい
② 在宅療養カンファレンス割合(民医連指標53)
指標の意義
地域における医療と介護の連携を促進し、在宅療養を希望する患者・家族のニーズに応えるプロセスの評価
2024年当院数値
割合 42.21% (民医連中央値12.13%) 2023年 59.65%(2023年民医連中央値 10.12%)
分子 入院中に退院に向けて退院後の在宅療養を担う事業所の担当者を交えて検討を行った患者数
分母 在院日数7日以上の患者数
考察
在宅カンファレンス割合は増加しているが、ケアカンファレンス割合が実施しているわりに低い。
(参加者明記の記録もれ、記録がデーター抽出表記に電子カルテ上反映されていないことがあり、全カンファレンス数の把握ができていない
⇩
・多職種カンファレンスによって、情報共有や診療・ケアの質を向上させていくことが大切。
・全スタッフへ記録もれや詳細登録の入力の徹底、データー抽出をPC以外で補足することでカンファレンスの実施把握もれをなくす
・今後ケアの質を表す指標の検討も必要
#6 がん検診
① 胃がん検診後の胃がん発見率
2018年1月から東大阪市の内視鏡検診が開始された。
2024年当院数値
胃透視検診後の胃がん発見率
0.067%(胃がん検診 4472件 胃がん 3件 2023年 0.045%)
他院で精査を実施した件数は含んでいない。2021年度消化器がん検診全国集計の胃がん発見率は0.067%である。
内視鏡検診後の胃がん発見率
0.63% 胃がん発見数:10件(うち早期がん8件) 内視鏡検診数:1590件
2021年度内視鏡検診全国集計の胃がん発見率は0.17%である。
考察
1.内視鏡検診、胃透視検診によるがん発見率は、全国平均値を上回った。
2.当院の内視鏡検診受診者は年々増加しているが、胃透視検診は前年より減少した(全国および東大阪市の傾向と同じ)。
3.ピロリ除菌既往の割合は年々増加しているが除菌後での胃がん発見はあり定期的な検査が必要である。またピロリ未感染者での胃がんもあり注意を要する。
*2025年内視鏡検診受診者の除菌後37.5%、未感染が46.1%。
4.東大阪市の内視鏡検診、胃透視検診における生協病院および東エリア診療所(加納、はなぞの、楠根)の占めるシェアは非常に高い。がん検診としての精度管理を行うことが重要である
③ 乳がん検診後の乳がん発見率
2024年当院数値
乳がん発見率 0.42%(乳がん検診 3067件 乳がん 13件 2023年 0.33%)
乳がん検診は3067人、そのうち要精査と判定したのが人(要精査率 5.8%)。
国立がん検診センターによる乳がん発見率 0.35%(2023年)
④子宮がん検診後の子宮がん発見率
2024年当院数値
子宮がん発見率 0.00%(子宮がん検診 2726件 子宮がん 0件 2023年 0.04%)
国立がん検診センターによる子宮がん発見率 0.025%(2022年)
