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医療の質 QI推進活動報告2023年

#1 安全管理

① 転倒・転落発生率(民医連指標6)

指標の意義

 転倒・転落を予防し、外傷を軽減するための指標。特に治療が必要な患者を把握していく

 転倒転落を予防し、発生時の損傷を軽減する

指標として3項目

分子A 報告のあった入院患者の転倒・転落件数
分子B 入院中の患者に発生したインシデント影響度分類レベル3b以上の転倒・転落件数
分母  入院患者延べ数

2023年当院数値

A 報告のあった入院患者の転倒・転落件数 122件
 入院患者の転倒・転落発生率 0.35%

B入院中の患者に発生したインシデント影響度分類レベル3b以上の転倒・転落件数 0件
 入院患者での転倒転落によるインシデント影響度分類レベル3b以上の発生率 0%
(民医連中央値 0.1%) 2022年 0.88%(2022年民医連中央値 1.10%)

考察

◎入院当初より患者の日常生活自立度や認知症度の評価と把握を行い環境設定を行っているが、ADLの改善に伴い定期的に環境設定を見直す必要がある

◎転倒虫センサーと着床センサーの併用でも今回のような  骨折事故が起きてしまう現状がある。センサー鳴動時には最大限早期の訪室を徹底する 

◎転倒リスクのある患者には早期にセンサー設置を行い対応しているが、センサーの数に限りがあり、すべての患者に対応が困難な場合がある 優先度を見極め適切な配置が必要

② 病棟における薬剤関連事故発生率(民医連指標7)

指標の意義

薬剤安全管理者・薬剤師の病棟での役割のアウトカムとしての指標

2023年当院数値

薬剤関連事故発生率 0.087%(民医連中央値 0.36%) 2022年 0.083%(2022年民医連中央値 0.34%)
分子 薬剤投与違い、注射間違い(病棟のみレベル1以上)
分母 入院患者延べ数

考察 

1.薬剤に関わる重篤インシデント事例は今年も発生していません。

2.レベル2以上は全体で0件(2022年 1件 2020年 3件 2019年 5件 2018年 4件 2017年 7件)でした。  

3.52件の報告者の内訳は、病棟看護師31(34)、外来看護師17(30)、薬剤師3(12 )、医師0(1 )その他1です。( )内は2022年。

前年と比較すると各職種からの報告書提出が減少している

4.2階病棟関連は17、3階関連は24(2022年2階 17 3階 28 2021年2階 16 3階 28、2020年2階 34 3階 26)。

5.外来でのワクチン接種に関わるインシデント、病棟でのインスリン指示量の確認漏れ、薬剤配布ミスなど今年も同じような報告があります。

インシデントレポートの職場などでの検討が必要です。

① 65歳以上低栄養の改善率(独自指標)

指標の意義

血清アルブミン値を使用し病棟での栄養改善のとり組みの指標とする

2023年当院数値

低栄養の改善率 36.5%  2022年 37.5%
分子 退院直近の血清アルブミン値が3.0g/dl以上になった患者数
分母 当該月の65歳以上退院患者のうち入院3日までの血清アルブミン値が3.0g/dl未満の患者数
   2回以上アルブミン検査を実施している患者数

考察

1.生協病院の栄養改善に向けての多職種によるとりくみの評価ということになります。

 指標は前年よりも低下しました。

2.入院中にアルブミン値が増加した患者割合も年々低下傾向にあります。

3.指標の分母(入院時の血清アルブミン値が3.0g/dl未満の患者数)が、156で過去最高値となっています。

 低栄養の入院患者(在宅・施設管理、超高齢者、がん患者など)が増えているものと思われます。

4.今後とも低栄養、サルコペニアなどの入院患者の増加傾向は続く可能性があります。ひきつづき栄養改善を目標とした多職種(医師、看護師、管理栄養士、リハビリセラピスト、薬剤師など)によるとり組みが必要です。

② 褥瘡新規発生率(民医連指標5)

指標の意義

①褥瘡予防対策は、提供されるべき医療の重要な項目であり、栄養管理、ケアの質評価に関わる指標

②褥瘡アセスメント、予防アプローチの組織化の促進をみる指標

2023年当院数値

2023年 0.06%(2023年民医連中央値 0.08%)
分子 B)d2(真皮までの損傷)以上の院内新規褥瘡発生患者数
分母 入院患者延べ数

考察

①他施設の褥瘡発生率と比較しても当院発生率は低い。 褥瘡対策に関し一定の評価ができる

②褥瘡発生率は昨年と比較してかわらない。

 入院時、日々のアセスメントにより褥瘡発生・悪化の危険リスクにいち早く気づき、多職種による褥瘡対策チームで早期介入することにより予防及び早期処置による治癒率が向上した結果と考える

#3 感染管理

① 注射針及びそれに準じる鋭利な器具による皮膚の損傷からの血液曝露事例(民医連指標10)

指標の意義

他施設の状況を知り比較することで職員のリスク意識を高め安全管理をすすめる

2023年当院数値

件数 1件(割合 0.03%)(民医連中央値 0.08%)  2022年 0.09%(2022年民医連中央値 0.10%)

考察

2023年は1件と前年の3件よりも減少

今回の事例は床に落ちていた針での負傷であり、職員だけでなく患者も負傷する可能性があった

使用後の鋭利器材は使用者が責任を持ってその場で廃棄することが重要

事故発生前は採血や点滴後の針はトレイに入れて廃棄ボックスまで運んでいたが、カートに携帯用針ボックス

を設置しその場で廃棄できるよう改善した

② 中心ライン関連血流感染発生率(民医連指標11)

指標の意義

血流感染は重篤な転帰となることが多いことから、マキシマムプリコーションが一般的には推奨されている

感染予策・手技の徹底だけでなく、栄養状態の改善、栄養摂取方法の選択、他感染症の治療の適切性、コンタミネーションの鑑別・防止含めて総合的な質が求められる、留置日数が長くなればリスクも高い、発生率(対1000人日)で表す

院内感染対策の充実度、特に刺入部のケアや一般的な清潔操作の遵守を反映

2023年当院数値

発生率 1.06%(民医連中央値 1.83%)  2022年 7.23%(2022年民医連中央値 2.13%)
分子 当月の中心ライン関連血感染件数
分母 当院患者の中心ライン留置延べ日数

考察

カテーテル留置数は増加、感染者数は1件のみと減少、感染率1.06と前年の7.23よりも大きく低下

この1件の症例のCV挿入部位は鼠径部であった

CV周囲の便汚染も認めており、清潔を保つことが困難な症例であった

③ 総黄色ブドウ球菌検出者のうちのMRSA比率(民医連指標12)

指標の意義

黄色ブドウ球菌自体は皮膚に常在する場合があり、したがって単純にMRSAの検出数をモニターした場合は、結果が検査数に影響を受ける為、総ブドウ球菌数を分母とすることで標準化する

2023年当院数値

MRSA比率 72.20%(民医連中央値 51.06%)  2022年 51.19%(2022年民医連中央値 52.94%)
分子 期間内のMRSA検出入院患者数
分母 期間内の黄色ブドウ球菌検出入院患者数

考察

MRSA比率は72.20%と昨年より増加、民医連中央値からも大きく上回る結果となった

2023年のMRSA院内発生は12件、持ち込みが13件

MRSAの院内発生率で比較すると

2020年:19/2236=0.85 2021年:13/2390=0.54 2022年:14/2175=0.64

2023年:12/2222=0.54であり、院内発生率は0.64→0.54と低下している

④ アルコール手洗い使用割合(民医連指標13)

指標の意義

感染対策の基本である手指衛生を遵守する目安とする

2023年当院数値

2023年 使用割合 6.63% (2023年民医連中央値 9.52%)

考察

2023年の使用割合は6.63、昨年と比較して93%の使用率であり新型コロナ流行後初の低下となった

同じく民医連中央値も低下に転じている

2023年5月に新型コロナが5類へ移行となったが、今回経験したコロナ流行により手指衛生の意識も

高まったと思われる

2024年以降の使用割合がコロナ前の数値に戻らないよう、2024年は他院での取り組みなども積極的

に取り入れ、平時の使用率の上昇を図りたい

#4 認知機能評価

高齢者への認知機能スクリーニングの実施(民医連指標42)

指標の意義

認知症患者は今後増加が見込まれている。認知機能を適切に評価する事で過剰な治療や人権侵害を防ぎ、適切な対応を可能にする。

2023年当院数値

割合 51.45%(民医連中央値 37.11%)  2022年 53.3%(2022年民医連中央値 33.97%)
分子 HDS-R、MMSE、CGA等の認知機能スクリーニングが実施された結果が記載されている患者
分母 入院日数が4日以上で65歳以上退院患者数

 

#5 チーム医療・退院支援・地域連携

① ケアカンファレンス実施割合(民医連指標23)

指標の意義

カンファレンスの実施ではなく、記録を評価記録を残すことによりチームでの情報共有が促進され、プロセス・アウトカムを評価することが可能となる

2023年当院数値

割合 58.53%(民医連中央値 60.62%)  2022年 75.59%(2022年民医連中央値 58.85%)
分子 入院期間中に1回以上、医師・看護師・コメディカルによるカンファレンス記録のある患者
分母 退院患者数

考察

中央値は前年度より少し上昇しており、当院は昨年より、17.06下降しましたが、中央値との差は2.09と少ないです。

2020年7月から初回カンファレンスを毎週火曜日に定期的に行い。月曜日と木曜日にリハビリカンファレンスを行っていますが、電子カルテが変更されたこともあり、カンファレンスの記録漏れやカウントもれがあったと思われる。本年度は記録にもなれ、記録のカウントもれのないように登録方法の統一を図りたいと思います。

また、今後も、診療報酬の改定され入院期間の短縮はますます増幅すると考えられます。。内容充実したカンファレンスやズームなど取り入れ工夫したカンファレンスを行っていきたいと思います。

② 在宅療養カンファレンス割合(民医連指標53)

指標の意義

地域における医療と介護の連携を促進し、在宅療養を希望する患者・家族のニーズに応えるプロセスの評価

2023年当院数値

割合 59.65% (民医連中央値10.12%)  2022年 94.22%(2022年民医連中央値 10.48%)
分子 入院中に退院に向けて退院後の在宅療養を担う事業所の担当者を交えて検討を行った患者数
分母 在院日数7日以上の患者数

考察

中央値、当院ともに昨年度より下降傾向です。患者の重症化が増えており、転院や施設退院が増加傾向にあるのが一因かと思われます。昨年より、下降はしましたが、当院は上位をキープしていますので、在宅復帰へのこだわりを継続し、更なる奮闘をしていきたいと思います

#6 がん検診

東大阪生協病院は組合員などを対象にした検診などを精力的に行っている。2017年度の東大阪生協病院のがん検診が東大阪市のがん検診に占める割合は、胃がん検診 33.8%、大腸がん検診 30.1%、乳がん検診 21.8%、肺がん検診 31.5%、子宮がん検診 14.1%である。

① 胃がん検診後の胃がん発見率

2018年1月から東大阪市の内視鏡検診が開始された。

2023年当院数値

胃透視検診後の胃がん発見率

0.045%(胃がん検診 4464件  胃がん 2件  2022年 0.022%)
他院で精査を実施した件数は含んでいない。2020年度消化器がん検診全国集計の胃がん発見率は0.052%である。

内視鏡検診後の胃がん発見率

0.62% 胃がん発見数:8件(うち早期がん7件)  内視鏡検診数:1290件 
2020年度内視鏡検診全国集計の胃がん発見率は0.17%である。

考察

1.内視鏡検診によるがん発見率は、全国平均値を上回った。

2.コロナ禍を経て検診受診者全体の減少傾向は続いているが、当院の内視鏡検診受診者は年々増加している。胃透視検診は前年よりわずかに減少した。

3.ピロリ除菌既往の割合は年々増加しているが除菌後での胃がん発見はあり定期的な検査が必要である(2名が除菌後)。

*2024年内視鏡検診受診者の除菌後35%、未感染が41%。

4.胃透視検診は、ピロリ感染ないし既往感染の描出に有効である。がん検診であると同時に「ピロリ抽出検診」として位置付け、内視鏡検査に結びつける、除菌に結びつける(→胃がんの予防につなげる)ことが重要と思われる。

5.昨年、はなぞの生協診療所での内視鏡検診が開始されたが、東エリア全体での胃がん検診(内視鏡、胃透視共に)を増やし、胃がんの早期発見に貢献したい。

② 大腸がん検診後の大腸がん発見率

2023年当院数値

大腸がん発見率 0.032%(大腸がん検診 9295件  大腸がん 3件)
他院で精査を実施した件数は含んでいない。検診の要精査率は5.36%。2019年度消化器がん検診全国集計の大腸がん発見率は0.126%である。

考察

③ 乳がん検診後の乳がん発見率

2023年当院数値

乳がん発見率 0.33%(乳がん検診 2994件 乳がん 10件   2022年 0.41%)
乳がん検診は2994人、そのうち要精査と判定したのが人(要精査率 5.44%)。
国立がん検診センターによる乳がん発見率 0.32%(2020年)

④子宮がん検診後の子宮がん発見率

2023年当院数値

子宮がん発見率 0.040%(子宮がん検診 2668件 子宮がん 1件  2022年 0.086%)
国立がん検診センターによる子宮がん発見率 0.03%(2019年)

 

#7 患者満足

① 患者満足度アンケート総合評価で「満足している」と応えた患者の割合(民医連指標59、60)

医療福祉生協連が毎年実施している患者アンケートを用いて集計した。

2023年当院数値

【外来】 91.1%(158回答) 2022年 95.4%

【入院】 70.8%(41回答) 2022年 92%

【訪問診療】 (136回答)

考察

☆今年度外来は全ての項目が前回と比較して下がっており、過去5年間の「全体として利用しやすかった」項目でのパーセンテージが最低であった。全国平均と比べても低い項目が目立っており、特に、先にあげた項目の点数が下がっている。

☆入院は全国平均と比べると低い項目があり、特に乖離の大きいものについては改善が求められる。

☆訪問診療もすべての項目が低下していた。前回に比べて回収数が大幅に増えており、その影響もあるかもしれない。

  • 今年度患者満足度調査全体としては患者への説明、待ち時間、時間を守ること、服務態度など接遇面での低下が特徴として挙げられると思われる。改めて各現場での振り返りと改善に努める。

【患者・利用者からの声】

  • インフルエンザワクチン等も訪問で対応して下さり大変助かっています。いつもありがとうございます。
  • 困難な要望にも良く対応されています
  • いつも有難うございます。本人も家族も安心して生活しております。これからも宜しくお願い申し上げます。
  • 訪問診療を父の時から、今の母も含めて10年以上お世話になっています。在宅介護をする家族にとってはなくてはならない病院です。ドクターナースの皆様のごじん力に心から感謝します
  • 長くお世話になっています これからもよろしくお願いします。
  • 入院中は色々ありましたが在宅往診では、皆様のやさしさや、声かけに(不安になった時も)安心して、話をきいて頂ただき感謝しています。
  • 往診や急変時にも親切に対応してもらって母も家族もありがとうございます。
  • 家族も外来でも厄介になっております。一昨年から今年にかけ、家族の者の大病を発見して頂き、日赤で手術を受けおかげさまで皆様に助けられ感謝しております。ありがとうございました。これからも皆々様も御自愛下さいませ。
  • 不安が軽減され助かります。
  • インフルエンザワクチンを予約制にしてほしい。3月頃インフルにかかるので、12月頃に打ちたいがその頃にはワクチンがない為
  • 先生良い人、当った。薬の待ち時間が少し長い。
  • 人間ドックが60才以上の組合員は無料や低料金で受けられるというのが、すばらしいと思います。これはぜひ続けてほしいと思っています。
  • 皆さん、親切で、とても良かったです。
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